猫にお手を覚えさせることは出来るのか?トレーニングのやり方の実例あり

「お手」と聞くと、食べ物を前にして目を輝かせた犬が飼い主に片前足を差し出している、そんな姿を思い浮かべられる方が多いのではないでしょうか。

でも、お手ができるのは、犬だけではありません。

気まぐれで、マイペースで、王様・女王様気取りの猫だって、お手をしてくれるのです。

猫飼育歴10年の自身の経験も踏まえ、「お手を覚えさせる方法」について実例を添えてご説明します。

気高い彼・彼女たちを手懐けたその快感に、あなたもハマってしまうこと間違いありません。

そもそも「お手」とは?

お手をする犬

犬などが、片前足を上げ、差し伸べた人の手のひらにのせる芸。また、それを命じる語。

出典:goo国語辞書

よく「動物は敵視している相手には腹を見せない」と言いますが、犬などの動物にとって、相手に足の裏(肉球)を見せるという行為も、信頼している相手にしかできないことだと言われています。

これは足の裏は全体重を支えかつ感覚器としての機能を担い、動物の急所とも言われる大切な部分であるためです。

先祖にオオカミを持ちリーダーの存在する群れの中で生活をしてきた犬は、従来よりリーダーに忠誠を示す行為として足の裏を見せる習性があり、それが飼い主(リーダー)である人間に対する「お手」に繋がっていると言われています。

猫もお手ができるのか?

犬はもともと群れで生活し、リーダーに従順な忠誠心の強い動物であると述べましたが、一方で猫は、繁殖期や育児期以外は単独で生活し、縄張りを持って行動する独立型のハンターです。

猫好きの皆さんにとっては当たり前の事実かと思いますが、基本的に猫は人間に干渉されることも好みません。

しかし、そんな猫も、人間と触れ合うことが嫌いというわけでは決してなく、トレーニングをすることで「お手」を覚えることは十分に可能です。

事実、私の飼い猫(体重6キロ、食べ盛りのスコティッシュフォールド♂8歳)は、お世辞にも高い知能の備わっているとはいえませんが、至って普通のトレーニングによって、1ヶ月足らずでお手を習得しています。

猫にお手を教えるためのトレーニング

お手をする猫

まず、猫にも外交的・内向的などの性格があるように、

  • もともとの能力で「お手」ができる猫
  • 簡単なトレーニングで「お手」を覚える猫
  • 日々のトレーニングを重ねて「お手」を覚える猫

など、こうした芸の習得度合いも様々です。

もともとの能力でお手ができる(こちらが手を差し伸べると自然と前足を差し出してくる)場合は、特にトレーニングなど必要ありませんが、現時点では手を差し伸べても猫が何も興味を示さない、あるいは鼻を近づけて匂いを嗅ぐだけ、という場合は、ぜひ以下をお試しください。

猫にお手を覚えさせるためのトレーニング【初級編】

まずは、非常に原始的な方法ですが、私の飼い猫はこれにてお手を習得しました。

手順としては、

  1. おやつを用意する
  2. 猫が近寄ってきたら、猫の真上まで器を持ち上げ、猫がお座りするのを促す
  3. 器で猫の視線を操作しながら、「お手」といって猫の右前足を持ち上げる(握手するようなイメージ)
  4. おやつ(ご褒美)を与えて褒める

といったシンプルなもので上記を毎日おやつ時に繰り返します。

そろそろ慣れてきたのでは?と感じたら、手順③において手を握るのをやめ、猫の方から差し伸べることを促すようにしてください。

私の飼い猫は、おおよそ2週間程度続けることで「お手」が定着しました。

それでもなかなか覚えてくれない・・・という場合は、以下のツールを使用したトレーニング方法がおすすめです。

猫にお手を覚えさせるためのトレーニング【中級編】

ご紹介するのは、「クリッカー」を使ったトレーニングです。

クリッカーとは、もともとイルカの訓練などに用いられていた、手のひらサイズのツールで、ボタンを押すとカチッと音のするトレーニングツールです。(ネットショップにて安いもので300〜500円前後で購入可)

いつでも同じ音が出るクリッカーを用いて、「お手をしたらご褒美がもらえる」という条件反応を形成します。

まずは、

  1. おやつを用意する
  2. 猫が近寄ってきたら、クリッカーを鳴らし、すぐにおやつを与える

このステップにて、「クリッカーが鳴ったらおやつがもらえる(いいことがある)」ということを覚えさせます。

次に、

  1. おやつを用意する
  2. おやつを与える前に、「お手」といって猫の前に手を差し出す
  3. 猫が手を差し出したら、クリッカーを鳴らし、すぐにおやつを与える

このステップで、「お手をしたらおやつがもらえる」ことを覚えさせます。

なお、こちらが手を差し伸べてもなかなか猫が手を差し出してくれない場合、慣れるまではこちらから優しく手を取って、握手するような形で「お手」を覚えさせてあげてもよいかもしれません。

猫にお手を覚えさせる方法のまとめ

  • 「お手」はもともと忠誠心の強い犬の習性だが、猫も習得は可能
  • 猫の性格にもよるが、簡単なトレーニングで「お手」を覚えさせることができる
  • なかなか猫が「お手」を覚えてくれない場合、「クリッカー」という道具を使った手法が効果的

なお、同様の方法で、「お手」だけでなく、「おかわり」や「ハイタッチ」など、様々な芸を覚えさせることも可能です。

また、こうした芸の習得は、猫の愛くるしさを増すだけでなく、色々な相乗効果を生み出します。

例えばお手を習得した猫は、肉球に触れられることに抵抗を感じなくなり、スムーズに爪を切らせてくれるようになるかもしれません。

天気の悪い日にお散歩から帰ってきた猫が、嫌がらずに足を拭かせてくれるようになるかもしれないので、「お手」を通して、愛する猫との信頼関係をもう一歩、深めてみてください。