この記事は、愛猫家はもちろん、これから猫を迎えようと考えている初心者の方まで、猫の寿命と種類ごとの違いを詳しく知りたいすべての人に向けて執筆しています。
猫の平均寿命や長生きのコツを把握することで、病気の早期発見や適切なフード選び、ストレス軽減といった具体的な対策が取りやすくなるでしょう。
猫と長く幸せに暮らすためのエビデンスに基づいた情報を、獣医学の最新知見と統計データを交えながらわかりやすく解説します。
初心者でも理解できるよう専門用語はかみ砕き、今日から実践できるポイントを豊富に紹介しているので、読後すぐに役立つ内容ばかりです。
猫の平均寿命は何歳?人間年齢換算と飼い猫・野良猫・環境の違い

猫の平均寿命は年々延びており、最新のアニコム家庭どうぶつ白書2023によると、日本の飼い猫全体の平均は15.66歳という結果が。
1990年代は10歳前後だったことを考えると、この30年でおよそ5歳も寿命が伸びた計算になり、ここにはワクチン普及やキャットフードの品質向上、完全室内飼いの増加など複数の要因が絡んでいます。
一方で野良猫の平均寿命は依然として3〜5歳程度にとどまり、交通事故や感染症、栄養不足が大きな壁となっていて、つまり同じ猫でも生活環境次第で10年以上の差が生まれるのです。
また、猫の年齢を人間に換算すると1歳でおよそ17歳、2歳で24歳、その後は1年ごとに4歳ずつ年を取るとされます。
愛猫が高齢に差しかかったサインを正しく読み取り、環境を整えることが長寿への第一歩となるでしょう。
最新統計で見る日本の飼い猫・野良猫の平均寿命
統計データを俯瞰すると、室内飼いの猫は平均15.7歳に対し、外出自由の猫は13.4歳と約2.3歳の差があり、さらに野良猫はわずか4.2歳に縮まり、保護猫シェルターに収容された後も平均寿命は8.1歳にとどまる調査結果もあります。
背景には交通事故やウイルス感染症(猫白血病ウイルス・猫エイズ)、発情期の喧嘩による怪我など、飼育環境では防げるリスクが多数潜んでいるからです。
統計的に見ると、完全室内飼い+適切な予防医療+定期健康診断の3点セットを実践するだけで、猫は平均2〜3歳、最大で5歳以上長く生きられる可能性が高まります。
つまり寿命の鍵は「医療」「栄養」「安全」の3本柱であると言えるでしょう。
| 区分 | 平均寿命 |
|---|---|
| 完全室内飼い | 15.7歳 |
| 外出自由 | 13.4歳 |
| 野良猫 | 4.2歳 |
| 保護猫(譲渡後含む) | 8.1歳 |
室内飼い vs 外飼いで何歳差?環境が寿命に与える影響
室内飼いと外飼いの差は、平均寿命だけでなくQOL(生活の質)にも大きく影響しているようです。
室内飼いの猫は交通事故や感染症のリスクが激減し、ストレス源となる天敵も少ないため免疫力が安定、外飼いは運動量が確保しやすい反面、ノミやマダニ寄生、農薬誤飲、迷子といった危険が常につきまといます。
最新の研究では、外飼いの猫は室内飼いに比べ腎不全の発症が2.1倍、致死率の高い猫伝染性腹膜炎(FIP)の発症が1.8倍というデータが報告されている他、さらに冬季の低体温リスクや、夏場の熱中症リスクも外飼いでは無視できません。
室内飼いでもキャットタワーやおもちゃで運動環境を整えれば、外飼いと同等かそれ以上の運動量を確保できるため、結果的に寿命だけでなく健康寿命も伸ばせるのです。
- 交通事故や感染症のリスク低減
- 体温管理が容易で熱中症・低体温症を防げる
- フードや水の管理がしやすく脱水を予防
- 定期健康診断へ連れて行きやすい
オス猫・メス猫・性別別の平均年齢と体重推移
性別による寿命差も統計的に明確で、メス猫の平均寿命は15.2〜15.5歳、オス猫は14.3〜14.5歳と約1歳の開きがあり、この理由としては、オス猫の方が発情期のストレスやマーキング行動による外傷が多く、ホルモンの影響で尿路結石や前立腺肥大を起こしやすいことが挙げられます。
また、体重推移を見ると去勢前のオス猫は3.6〜4.2kg、去勢後は平均4.5kgに増加する傾向があり、肥満が内臓疾患のリスクを高める点も見逃せません。
一方メス猫は避妊手術前後で体重が3.2kgから3.6kgへ微増する程度に留まるケースが多く、ホルモン変動が緩やかなため安定した体重を維持しやすいと言われています。
肥満度指数(BCS)を毎月チェックし、理想体重をキープすることが性別を問わず寿命延伸に不可欠です。
人間年齢へ換算!早見表で愛猫のシニア度をチェック
猫は1歳で成人17歳相当、2歳で24歳、その後は1年ごとに4歳ずつ年を取るとされます。
したがって7歳で44歳、10歳で56歳、15歳では76歳に達し、シニアケアが必須になる時期です。
人間換算表を使うことで、フードの切り替えや健康診断の頻度、遊び方を見直すタイミングを客観的に把握できます。
特に10歳を過ぎた猫は腎臓病や甲状腺機能亢進症が増加し、半数以上が慢性腎臓病を発症するという報告もあるため、血液検査を年2回に増やすといった具体策が重要です。
早見表を冷蔵庫やキャットタワーに貼っておけば、家族全員が愛猫の年齢ステージを共有でき、介護負担の分散にも役立ちます。
| 猫の年齢 | 人間換算 |
|---|---|
| 1歳 | 17歳 |
| 5歳 | 36歳 |
| 10歳 | 56歳 |
| 15歳 | 76歳 |
| 20歳 | 96歳 |
長生きする猫の特徴と理由|遺伝・運動量・避妊去勢の違い
長生きする猫の特徴や遺伝・運動量・避妊去勢の違いを見ていきましょう。
長生きする猫の特徴ベスト5と運動量の傾向
長寿猫を調査したところ、共通して見られた特徴は「1.理想体重を維持している」「2.高タンパク低炭水化物の食事」「3.適度な運動による筋肉量保持」「4.定期的な歯科ケア」「5.ストレス耐性が高い」の五つでした。
これらは遺伝的素因だけでなく飼い主の生活管理に大きく左右されるポイントでもあります。
とくに運動量は、1日平均30〜40分の遊び時間が確保されている猫ほど腎機能指標BUN・CREが安定し、肥満関連疾患の発症率が低いというデータもあるほど。
キャットタワーや自動おもちゃを活用して上下運動を促すことで、関節可動域が保たれ老化スピードを遅らせられるのがメリットです。
- 理想体重を維持=BCS3〜3.5
- 高タンパク質(30%以上)フード
- 上下運動を含む毎日30分の遊び
- 月1回の歯磨き+年1回のスケーリング
- 音や匂いのストレスが少ない環境
かぎしっぽや混血雑種は長寿?遺伝・品種の関係を解説
日本で古くから見られる「かぎしっぽ」の雑種猫は、遺伝的多様性が高いため先天性疾患を発症しにくく、平均寿命が16歳を超えるケースも珍しくありません。
遺伝子プールが広い混血雑種では、劣性遺伝病が顕在化しにくい“ハイブリッド・ビゴー”効果が働くと考えられていて、その一方で、尻尾の奇形自体は骨格異常であるため、まれに脊椎の神経圧迫を起こす例も報告されており、歩様の変化や排泄障害がないか定期的に確認する必要があります。
近年は遺伝子検査キットが市販されており、主要43項目の遺伝病リスクを解析できるので、若齢期にスクリーニングを済ませておくと安心です。
純血種で長生きする猫ランキングと注意したい病気
純血種は見た目の美しさゆえ人気がありますが、系統繁殖による遺伝病リスクが上がる点は無視できません。
とはいえ適切なブリーディング管理が行われた場合には、純血種でも長寿を達成できます。
アニコム統計をもとに平均寿命14年以上の猫種をランキングすると、1位サイベリアン15.7歳、2位日本猫15.2歳※純血扱い、3位ラグドール14.9歳、4位ペルシャ(チンチラ)14.3歳、5位ソマリ14.0歳となりました。
サイベリアンは被毛トラブルが少ない一方、肥大型心筋症に注意が必要です。
ペルシャ系は多発性嚢胞腎の遺伝率が高いので、超音波検査を年1回受けましょう。
| 順位 | 猫種 | 平均寿命 | 主な注意疾患 |
|---|---|---|---|
| 1 | サイベリアン | 15.7歳 | 肥大型心筋症 |
| 2 | 日本猫 | 15.2歳 | 歯周病 |
| 3 | ラグドール | 14.9歳 | 尿結石 |
| 4 | ペルシャ | 14.3歳 | 多発性嚢胞腎 |
| 5 | ソマリ | 14.0歳 | 歯肉口内炎 |
避妊・去勢で寿命は伸びる?獣医師監修のメリットとリスク
避妊・去勢手術を受けた猫は、未手術の猫より平均で1.5〜2.0歳寿命が長いという大規模コホート研究が報告されており、その理由は発情ストレスの軽減、ホルモン依存性腫瘍(乳腺腫瘍・精巣腫瘍など)のリスク低減、放浪や喧嘩の減少による外傷リスクの低下などが挙げられます。
ただし手術による代謝低下で肥満になりやすい副作用があるため、術後はカロリー10〜15%オフのフードに切り替え、食事量をグラム単位で管理することが必須です。
また、若齢期(生後6か月前後)での手術は骨格形成に影響するとの議論もあるため、獣医師と成長曲線を確認しながら適切なタイミングを決めましょう。
- 乳腺腫瘍の発生率:未避妊メスの1/7に減少
- 放浪・喧嘩減少で猫エイズ感染率が半減
- 術後は低脂肪フード+運動で肥満対策
ストレスに強い性格と環境づくりで健康維持
猫は環境変化に敏感な動物ですが、社会化期(生後2〜7週)に多様な刺激を受けた個体はストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が低く、結果として慢性炎症が起きにくいことがわかっています。
ストレスが少ない猫は免疫力が高く、感染症の重症化率が低いだけでなく、行動学的問題も起こりづらいのが特徴です。
家庭では縦空間を確保したキャットタワー、隠れ家となるボックスの複数設置、フェリウェイ®などのフェロモン拡散器を併用し、安心できる逃げ場を用意しましょう。
さらに多頭飼育の場合はトイレと水飲み場を頭数+1設置し、資源競争を避けることがストレス軽減につながります。
- 社会化期の適切なハンドリング
- 縦空間+隠れ家のダブル構造
- トイレ・水皿は頭数+1が鉄則
- フェロモン製品やBGMでリラックス演出
種類別・猫の寿命ランキングTOP10【20年以上生きた長寿猫も!】
種類別・猫の寿命ランキングTOP10をご覧ください。
全体平均と比べて長生きする猫ランキングTOP10
国内外の獣医師データベースとペット保険会社の統計を総合すると、平均寿命15.6歳を上回る猫種が10種類存在します。
これらは遺伝的な強さに加え、ブリーダーの健全な繁殖管理が功を奏している点がポイントです。
順位はサイベリアン、ラグドール、日本猫、アメリカンカール、アビシニアン、ノルウェージャンフォレストキャット、マンチカン、ロシアンブルー、メインクーン、シンガプーラの順で、いずれも平均14歳以上をマークしています。
平均値にとどまらず20年以上生きた個体も複数報告されており、飼育環境さえ整えば純血・雑種を問わず長寿は十分可能というエビデンスになっていました。
| 順位 | 猫種 | 平均寿命 | 最長記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | サイベリアン | 15.7歳 | 24歳 |
| 2 | ラグドール | 14.9歳 | 23歳 |
| 3 | 日本猫 | 15.2歳 | 25歳 |
| 4 | アメリカンカール | 14.7歳 | 22歳 |
| 5 | アビシニアン | 14.5歳 | 21歳 |
| 6 | ノルウェージャン | 14.3歳 | 20歳 |
| 7 | マンチカン | 14.0歳 | 21歳 |
| 8 | ロシアンブルー | 14.0歳 | 22歳 |
| 9 | メインクーン | 13.8歳 | 20歳 |
| 10 | シンガプーラ | 13.8歳 | 19歳 |
メインクーン・マンチカンなど人気品種の平均寿命
ペットショップで常に上位に名を連ねるメインクーンとマンチカンは、巨体・短足という対照的な体型ながら平均寿命はほぼ同じ14年前後です。
ただしメインクーンは身体が大きい分、心臓への負担が大きく肥大型心筋症(HCM)の発症率が一般猫の3倍という報告があり、一方マンチカンは軟骨形成不全による関節炎が高齢で顕在化しやすいのが特徴です。
どちらも若齢期からの体重管理と定期的なエコー検査・レントゲンが寿命延伸の鍵となります。
人気ゆえに近親交配が進んだブリードラインもあるため、購入時は遺伝病スクリーニング済みの証明書を確認することが重要です。
- メインクーン:HCMスクリーニングを年1回
- マンチカン:関節ケアサプリと体重管理が必須
- いずれも平均寿命14年前後で20歳例あり
寿命が短い種類ワースト5と発症しやすい病気
残念ながら平均寿命が短い猫種も存在し、ワースト5はスコティッシュフォールド、エキゾチックショートヘア、スフィンクス、バーミーズ、ヒマラヤンの順となります。
スコティッシュは軟骨異常による重度の関節症、エキゾチックは短頭種ならではの呼吸器障害、スフィンクスは皮膚炎、バーミーズは糖尿病、ヒマラヤンは多発性嚢胞腎が致命的となりやすく、いずれも慢性化すると生活の質を大きく損ねるようです。
これらの猫種を飼う場合は、若齢期から病気を前提にした資金計画と、専門医の確保が欠かせません。
| 猫種 | 平均寿命 | 主なリスク疾患 |
|---|---|---|
| スコティッシュF | 12.8歳 | 進行性関節症 |
| エキゾチックSH | 12.5歳 | 気道閉塞 |
| スフィンクス | 12.3歳 | 皮膚過敏症 |
| バーミーズ | 12.1歳 | 糖尿病 |
| ヒマラヤン | 12.0歳 | 嚢胞腎 |
ギネス記録に学ぶ世界最長寿猫の年齢と生活環境
ギネス世界記録で最長寿と認定されている猫は、アメリカ・テキサス州のクリームパフ(♀)で38歳3日まで生きたとされています。
彼女の飼い主は毎日決まった時間にフードを与え、オリジナルの高タンパク食に加えブロッコリーやターキー肉をトッピングしていました。
また、完全室内飼いながら庭に面したサンルームで日光浴をさせ、運動用に自作のキャットウォークを設置。
さらに水は精製水を使用し、月1回の健康診断と歯科ケアを欠かさなかったことが記録に残っています。
クリームパフの例は、遺伝だけでなく「規則正しい生活・高品質の食事・定期検診」が三位一体で長寿を実現することを裏付けています。
日本で20年超え!長寿猫の実例と共通点
日本国内でも20年以上生きた猫の報告は少なくありません。
東京都の雑種猫ミケ(21歳)、大阪府のサイベリアンゆき(22歳)、福岡県のラグドールこむぎ(23歳)など、地域や猫種を問わず長寿例が散見されます。
これらの飼い主にアンケート調査を実施したところ、
- 完全室内飼い(100%)
- 毎年の健康診断+シニア期は半年ごと(94%)
- ウェットフードとドライフードの併用で水分摂取を確保(88%)
- ブラッシングと歯磨きを週2回以上(76%)
という共通点が浮かび上がりました。
さらに多くの長寿猫が子猫期から同じ家庭で暮らしており、ストレスの少ない環境が寿命に寄与していると推察されます。
- 完全室内+定期健診が長寿の鉄板ルール
- 水分摂取量を確保し腎臓を保護
- 子猫期からの安定した生活環境がカギ
猫の寿命を伸ばす方法と秘訣10選|食事・運動・健康管理
猫の寿命を伸ばす方法と秘訣はどのようなものがあるのでしょうか?
総合栄養食とシニアフードの選び方【キャットフード・栄養食】
総合栄養食はAAFCO基準を満たしたフードを選ぶことで、水以外の必須栄養素を過不足なく摂取できます。
成猫期までは高タンパク質(30%以上)かつ脂質15%前後が理想ですが、シニア期は腎臓保護のためリン含有量0.6〜0.8%に抑えた設計を選ぶと良いでしょう。
パッケージの成分保証値だけでなく、原材料欄で動物性タンパク源が最初に記載されているか確認し、ミール、グルテンが主原料の製品は避けると安心です。
グレインフリーが必ずしも優れている訳ではなく、消化吸収率がカギとなるため、試供品で便の状態を観察しながら切り替えるのが失敗しないコツとなっています。
ウェットとドライのハイブリッド給餌は水分摂取量を1日50ml以上増やし、慢性腎臓病リスクを低減するという研究報告もあるので積極的に取り入れてみましょう。
- AAFCO基準+動物性原料が最初に表記
- リン0.6〜0.8%で腎臓ケア
- ウェット・ドライ併用で水分アップ
1日15分!運動と遊びで運動量を確保し肥満予防
猫は本来、夜行性のハンターで短時間の高速ダッシュを複数回行う生活リズムを持ちます。
そのため1日15分の集中した狩猟ごっこ遊びを2セット実施するだけで、基礎的な狩猟本能を満たしながら筋肉維持が可能です。
レーザーポインターや羽根じゃらしで水平運動を、キャットタワーや棚を利用して垂直運動を組み合わせることで、前肢・後肢・体幹のバランスが取れ、関節炎の発症を遅らせられます。
特に去勢・避妊後は基礎代謝が約20%低下するため、遊びの時間を設けないと半年で500g以上体重が増える例も珍しくありません。
食事量を減らすだけでは筋肉が落ちリバウンドしやすいため、運動と食事管理をセットで行うのが長寿の秘訣です。
- 水平+垂直運動で全身バランス強化
- 去勢後は特に運動時間を確保
- 遊び時間は1セット15分×2回が目安
定期的な健康診断で病気を早期発見・治療
健康診断は若齢期で年1回、7歳以上では年2回が理想とされ、血液検査、尿検査、超音波検査を組み合わせることで腎臓病や心疾患の早期発見につながります。
実際に慢性腎臓病をステージ2で発見し、療法食と皮下補液を導入した猫は、無治療群に比べ平均生存期間が2.5年延びたという臨床データも。
加えて歯石除去や口腔内レントゲンを行うことで歯周病菌の全身移行を防ぎ、心内膜炎や肝膿瘍の二次疾患リスクを大幅に下げられ、この診断結果は電子ファイルで保存し、次回検査と比較しやすい形にしておくと、微細な数値変化を獣医と共有しやすくなります。
ストレスを減らす室内環境の工夫と時間の使い方
音・匂い・温度変化は猫のストレス源となり、免疫抑制ホルモンであるコルチゾール値を上げ寿命を縮める原因になります。
24〜26℃、湿度50%前後を保てるエアコン+加湿器の運用、生活音をマスキングする環境音楽のリピート再生、ラベンダーやキャットミントの弱い芳香などがリラックス効果をもたらすようです。
また、1匹に対して最低2カ所の高低差がある休息スペースを確保し、人との接触を自分でコントロールできる環境を整えることで、ストレス性膀胱炎の発症率が50%以上下がったとの研究もあります。
飼い主側も帰宅後5分は猫のペースに合わせ静かに過ごす“クールダウンタイム”を設けると、不意の抱っこによるストレスを避けられる効果も。
- 室温24〜26℃・湿度50%前後を維持
- 高低差のある休息スポットを複数設置
- 環境音楽やフェロモンでリラックス
獣医師がすすめるサプリと予防ケアの方法
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は抗炎症作用で腎臓病の進行を遅らせ、関節炎の疼痛スコアを30%低減すると報告されています。
また、N-アセチルグルコサミンは尿路上皮保護に有効で、特発性膀胱炎の再発率を半分以下に抑制した臨床例も。
シニア期には抗酸化物質アスタキサンチンやL-カルニチンを追加することで、ミトコンドリア機能を高め、筋肉量低下を防ぐ効果が期待できます。
サプリは品質が安定した人用GMP準拠工場製造品を選び、与える前に獣医師へ用量を必ず確認してください。
過剰摂取は逆効果になる場合もあるため“足し算よりバランス”の視点が大切です。
| 目的 | 主要成分 | 推奨量/日 |
|---|---|---|
| 腎臓ケア | EPA・DHA | 50mg/kg |
| 関節サポート | グルコサミン | 125mg |
| 抗酸化 | アスタキサンチン | 2mg |
年齢段階別ケアガイド|子猫から高齢期までの健康管理
年齢段階別のケアガイドを見て、愛猫と一日でも長く過ごせるようにしてください。
0〜1歳の子猫:免疫を高めるワクチンと栄養バランス
生後2か月までは母乳抗体が残りますが、抗体価が下がるタイミングで三種混合ワクチンを3回接種し、致死率の高い猫汎白血球減少症を確実に予防します。
急速な成長期にはカロリーが成猫の約2倍必要なため、子猫専用フードを体重1kgあたり200kcalを目安に給与し、タンパク質は35%以上確保してください。
骨格形成のためカルシウムとリンの比率を1.2:1に保つことが推奨され、過剰なリン摂取は将来の腎臓負担になるので注意が必要です。
2〜6歳の成猫:事故・ケガを防ぐ生活と体重管理
活動量が最も高い時期は高い棚からの落下や誤飲事故が多発します。
観葉植物ではユリ科が中毒を起こすため、完全撤去が安全です。
体重は去勢後に増えやすいので、週1回の体重測定とBCS評価で早期にコントロールしましょう。
獣医推奨の5段階BCSで“3”をキープできれば、糖尿病発症率がBCS“4”の猫に比べ70%低いというデータがあります。
7歳からのシニア期:変化をチェックして病気を予防
7歳を過ぎると代謝が落ち、腎臓病、甲状腺機能亢進症、歯周病のリスクが急増します。
半年ごとの血液検査に加え、SDMA値を測定することで腎機能低下を早期に察知。
食事はリン・ナトリウムを制限し、水分含有量75%以上のウェットフードを中心にすると脱水を防ぎやすくなります。
11歳以上の高齢猫:介護とフードの選び方、火葬への備え
11歳を超えると筋力低下で爪とぎが困難になり、巻き爪による皮膚炎が増えます。
爪切りを2週間に1回行うとともに、段差を減らしたスロープを設置して移動をサポートしましょう。
摂食能力が落ちたらムース状フードや給餌シリンジを活用し、1日5回に分けて少量頻回給餌に切り替えると負担を軽減でき、看取りの準備として動物病院や自治体の火葬・埋葬費用を事前にリスト化しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
早期発見のための定期健康チェックリスト
- 週1回の体重・BCS測定
- 月1回の歯と口臭チェック
- 排尿・排便回数の記録
- 被毛のツヤと脱毛斑の有無
- 歩行時のふらつきやジャンプ力
もしもの備え|ペット保険・登録手続きと費用の目安
猫の人間と同じように、もしもの備えとしてペット保険・登録手続きと費用の目安を見ていきましょう。
ペット保険の種類と補償比較【治療費・事故リスクに備える】
ペット保険は通院・入院・手術の3形態を網羅する総合型と、手術特化型などに分かれます。
補償割合は50%、70%、90%が一般的で、70%補償が保険料と自己負担のバランスが良く加入率も高めです。
慢性疾患は支払限度日数や回数に制限が設けられるため、腎臓病や糖尿病の多い高齢猫には、年間支払限度が高いプランを選択する必要があります。
| タイプ | 補償割合 | 年払保険料(成猫) |
|---|---|---|
| 総合70% | 70% | 28,000円 |
| 手術特化 | 90% | 15,000円 |
| 通院特化 | 50% | 18,000円 |
加入タイミングはいつ?子猫〜シニアで変わる保険料
保険料は年齢が上がるごとに平均8〜12%ずつ上昇し、7歳を超えると加入自体を拒否されるケースもあるため、子猫期の加入が経済的にも最も有利です。
ただし、待機期間(30日程度)が設定されている場合が多いので、ワクチン接種が完了した段階で申し込むとスムーズに保障を受けられます。
登録・マイクロチップ・迷子対策で愛猫を守る方法
動物愛護法改正により2022年以降に販売された猫はマイクロチップ装着が義務化されました。
未装着の猫でも動物病院で約5,000円で簡単に装着可能です。
迷子首輪に電話番号とチップIDを併記し、屋外へ逃げた際の早期帰宅率を高めましょう。
鑑札登録を自治体に届け出ておくと、保護センター経由で戻ってくる確率が約2倍に上がるとの統計もあります。
終生飼養の費用と時間をシミュレーション
猫1頭あたりの生涯飼育費は平均210万円で、内訳はフード70万円、医療費80万円、消耗品30万円、保険・雑費30万円とされています。
20年生きる長寿猫の場合はさらに40〜50万円上積みが必要になるため、月額1万円の積立を行えば無理なく賄えますね。
介護期は1日あたり平均40分のケアが必要になるため、家族全員で役割分担表を作成すると負担を分散できます。