あなたの猫は大丈夫?異常よだれの見極め方

愛猫の口元にキラリと光るよだれを見つけた時、「あれ、大丈夫かな?」と不安になる飼い主さんは少なくありません。
猫はもともと唾液量が少なく、ダラダラと垂れるのは珍しいため、正常と異常を見極める基準を知ることがとても大切です。
本記事では、よだれの特徴別チェックポイントから病院受診のタイミング、さらに自宅ケアや予防法までを獣医師監修情報を交えて徹底解説します。
検索キーワード「猫 よだれ」で情報を探している方に向け、口腔トラブルの原因ランキングや費用の目安、緊急時の応急処置など実践的な内容を網羅しました。
最後まで読めば、愛猫の健康を守るために今すぐできることが明確になります。
ぜひ参考にしてください。

目次

猫のよだれは正常?異常?基準とサインを徹底解説

猫のよだれには「生理的によだれ」と「病的によだれ」の2種類があります。
前者は緊張緩和や食事前の期待などで一過性に見られますが、後者は口腔炎症や全身疾患が背景に潜むことが多いのが特徴です。
猫は体重が軽く症状の進行も速いため、色・粘度・量・回数を細かく観察することが早期発見のカギとなります。
正常範囲のよだれは無色透明で匂いがなく、毛に付着しても乾くとほぼ分からない程度です。
一方、異常サインとしては白く泡立つ・血が混じる・粘りが強い・酸っぱい臭いがするなどが挙げられます。
さらに、よだれと同時に食欲低下や顔をしかめる仕草、前足で口を気にする動作などが見られたら要注意です。
この章では判断に迷いがちな境界ラインを具体例で示し、飼い主が自宅でできるチェック方法を紹介します。

透明でさらさらの唾液とネバネバ・ゼリー状の違い

健康な唾液は水のようにさらさらで、軽くティッシュに触れさせても素早く染み込みます。
一方、歯周病や口内炎があるとムチン量が増えゼリー状に変化し、ティッシュの上で糸を引くような粘度が特徴です。
色調も乳白色や淡黄色へ変わり、場合によっては血液・膿が混ざることで赤や緑がかった色になることもあります。
簡易チェックとして、口周りの被毛を指で軽く広げ、付着したよだれの糸引き具合やニオイを確認すると変化を把握しやすいでしょう。
酸味や腐敗臭が強ければ細菌繁殖が進んでいる可能性が高く、早期に動物病院での検査が必要です。
粘度の違いは疾患のステージを示す重要なバロメーターとなるため、日頃から様子を記録しておくことをおすすめします。

  • さらさら:無色透明・無臭・ティッシュにすぐ吸収
  • ネバネバ:糸を引く・乳白色〜黄色・嫌な臭い
  • ゼリー状:血液や膿混在・強い腐敗臭・口内炎や重度歯周病の疑い

嬉しい時やリラックス中に多いよだれは問題ない?

ゴロゴロ喉を鳴らしながら膝の上でウトウトしている時、あるいは大好きなおやつを見た瞬間に垂れる少量のよだれは生理的反応であり、大半は心配いりません。
副交感神経が優位になると唾液腺が刺激され、短時間だけ分泌が増加するためです。
しかし「量が急増」「毎日長時間続く」「被毛が常に濡れている」ようなら話は別です。
特にシニア期(7歳以上)では疾患リスクが高まるため、リラックス時でも粘度や臭いの確認を怠らないことが重要になります。
生理的か病的かを判断する目安は『止められるかどうか』と『他症状の有無』。
簡単に拭き取り自然に止まれば生理的、拭っても流れ続ける場合は受診を検討しましょう。

寝てる時・あくび後にポタポタ垂れるケース

睡眠中は口元の筋肉が緩むため、軽く垂れる程度なら生理的範囲内です。
ただし、枕代わりのクッションが毎回濡れるほどの量は異常のサイン。
慢性的な歯周病で唾液が過剰に分泌される、あるいは舌や歯が欠けて物理的に閉口できない可能性もあります。
あくび後にピュッと唾液が飛ぶのはよくありますが、泡状や血混じりの液が出る場合は口内粘膜損傷の疑いが高いです。
寝起きやあくび後のよだれが気になったら、ライトで口腔を照らし歯肉色・舌の表面・口臭をチェックしてください。
観察を怠ると症状が進行してから気付くケースが多く、処置が大掛かりになるリスクが高まります。

食欲・行動の変化をチェック!健康状態の見極め方

よだれは単体より他症状との組み合わせで重症度を判断できます。
例えば『食欲低下+片側の頬が腫れる+口臭』は重度歯周病、『多飲多尿+アンモニア臭』は腎不全が疑われます。
さらに『突然の攻撃性+瞳孔散大+大量の泡よだれ』は中毒や神経疾患の可能性が高く緊急を要します。
行動変化は痛みや不快感のサインで、隠れた場所にこもる・頭を傾ける・口を開けたまま鳴くなどは要注意です。
下記の表に主な組み合わせ例をまとめましたので参考にしてください。

よだれの特徴 伴う症状 疑われる疾患
泡状・口臭 食欲不振・歯ぐき出血 歯周病
ネバネバ・アンモニア臭 多飲多尿・体重減少 腎不全
透明大量 嘔吐・下痢 異物誤飲
泡状大量 痙攣・よだれ止まらず 中毒/てんかん

急によだれが大量に分泌…症状別チェックと対処

急激に量が増えた場合、まず観察すべきは“呼吸状態”と“意識レベル”です。
よだれが口からあふれているときは、誤嚥性肺炎や気管閉塞リスクも高まります。
症状別に優先度を整理し、速やかな応急処置と受診判断ができるようにしましょう。

大量・止まらないよだれは異常サイン

ティッシュで3回以上拭っても数分で再び滴る場合は異常と判断してください。
歯周病末期や口腔内腫瘍では唾液腺が過剰刺激されるだけでなく、出血も混ざりやすいため感染症リスクが急上昇します。
自宅での応急対応としては、口元を清潔なガーゼで軽く拭き取り、保冷剤をタオルで包んで顎下に当てると分泌がやや落ち着く場合があります。
ただし30分以上改善が見られない、もしくは呼吸が荒い場合は夜間救急でも受診が必要です。

嘔吐・吐き気・体重低下を伴う時の注意ポイント

よだれと嘔吐が同時に起きた場合、胃腸炎や膵炎のほか、中毒物質の摂取が疑われます。
嘔吐物に異臭や血が混ざる・便が黒色タール状になるメレナが見られる場合は消化管出血の可能性もあります。
体重が急減している場合は慢性腎不全や甲状腺機能亢進症が潜んでいるケースも多いため、総合的な血液検査が必須です。
脱水を防ぐためスポイトで少量の水を与える、静かで涼しい場所に安静にさせるなど二次被害を防ぎましょう。

口臭・痛み・口内炎がある場合の対処法

強い口臭はほぼ100%口腔内の細菌増殖が関与しています。
痛みで食事を拒む場合、無理に固形フードを与えると傷を広げる恐れがあるため、ウェットフードや流動食に切り替えましょう。
自宅ケアとしては、人肌に温めた生理食塩水でガーゼを湿らせ歯ぐきをそっと拭くと痛みが緩和されやすいです。
ただし痛みが強く触れさせない場合は無理せず即受診し、抗生剤や消炎剤、必要に応じて鎮痛薬を処方してもらうことが重要です。

熱中症や神経トラブルなど全身症状の可能性

夏場の高温多湿環境では、過呼吸による唾液蒸発が追いつかず大量よだれに繋がります。
平熱38〜39℃を超え40℃以上の高体温が続くと、臓器障害や脳浮腫を招く危険があるため冷却と輸液が急務です。
また、てんかん発作や脳腫瘍など神経疾患ではよだれと同時に痙攣や意識消失が起こることがあります。
発作時は口をこじ開けると噛傷事故が起きるため絶対に行わず、時間を計測し動画撮影して獣医師に見せると診断に役立ちます。

原因ランキングTOP6―最も多い病気・疾患と口内トラブル

ここでは臨床現場で頻繁にみられるよだれの原因をランキング形式で紹介します。
発生頻度・重症度・放置した場合のリスクを加味しており、各疾患ごとに特徴と対処法をまとめました。

第1位 歯石が蓄積した歯周病で口腔が炎症

3歳以上の猫の約8割が罹患すると言われる歯周病は、歯垢内の細菌が毒素を産生し歯肉を破壊します。
放置すると歯根部膿瘍や顎骨融解を起こし、よだれは悪臭・膿混じりで黄色〜緑色になるのが特徴です。
治療は全身麻酔下でのスケーリングと場合によって抜歯が必要で、術後は抗生剤と痛み止めが処方されます。
日常的な歯みがきとデンタルガムで再発を防ぎましょう。

第2位 口内炎・潰瘍による強い痛み

猫カリシウイルスや免疫異常が原因で発症する難治性口内炎は、舌縁や口蓋に真っ赤な潰瘍を形成し激痛を伴います。
膿混じりの粘稠性よだれが特徴で、痛みで食事を拒否し体重減少が急速に進むため早期治療が重要です。
ステロイドやインターフェロン療法、重症例では全臼歯抜歯が選択される場合があります。

第3位 ウイルス・細菌感染症が引き起こす問題

猫免疫不全ウイルス(FIV)や猫白血病ウイルス(FeLV)感染は免疫力を低下させ、二次的に歯周病や口内炎を悪化させます。
また、レプトスピラ症やクラミジア感染でも口腔内に潰瘍が生じることがあります。
ワクチン接種と定期検査で予防・早期発見を徹底しましょう。

第4位 腎不全など内臓疾患で唾液がネバネバ

腎機能が低下すると尿毒症性口内炎が発生し、アンモニア臭の強いネバつく唾液が出ます。
血液検査でBUN・Creの上昇が見られたら、点滴療法と療法食で進行を抑制する必要があります。

第5位 中毒・誤飲による化学的刺激

ユリ科植物やアセトアミノフェンなどの薬剤を摂取すると、口腔内に灼熱痛が走り唾液が大量に分泌されます。
催吐や活性炭投与などの中毒対応は時間との勝負です。

第6位 腫瘍・てんかんなど神経系の疾患

口腔内扁平上皮癌や脳腫瘍は、神経支配の異常でよだれが止まらなくなります。
腫瘍は早期発見で生存率が大きく変わるため、定期的な画像診断が重要です。

受診のタイミングと動物病院での診察・検査・治療

どの症状がどれだけ続いたら受診すべきか迷う飼い主さんは多いものです。
ここではタイムリミットの目安と病院で行われる検査内容、治療費用の概算をまとめます。

受診すべき時間と病院選び―迷った時の注意チェック

基本的に『止まらないよだれ+食欲不振』が24時間以上続く場合は翌日まで待たずに受診してください。
夜間の場合は救急対応の動物病院を利用し、電話で症状を伝えると適切な応急処置を教えてもらえます。
口コミやHPで口腔外科に強いかどうかも確認すると治療がスムーズです。

獣医が行う検査:血液・口腔内・画像診断

一次診療では視診・触診に加え、血液検査で炎症反応や臓器数値を測定します。
口腔内はX線やCTで歯根・顎骨の状態を確認し、腫瘍疑いでは細胞診や生検を行うこともあります。

処置・手術・抜歯の可能性と獣医師の判断

軽度歯石なら無麻酔クリーニングで済みますが、重度歯周病では全身麻酔下で抜歯や歯肉縫合が必要です。
腫瘍の場合は外科切除か放射線治療が選択され、てんかんには抗てんかん薬でコントロールを図ります。

入院費やペット保険でカバーできる診療費用

一般的な歯石除去は3〜5万円、全臼歯抜歯は10万円以上が目安です。
腫瘍手術は20〜40万円と高額になるため、70%補償タイプのペット保険加入で自己負担を抑えることができます。

自宅でできる対処法と予防ケア

病院治療だけでなく、日々のホームケアで再発や悪化を防ぐことができます。
ここでは4つの柱に分けて具体的な方法を紹介します。

歯みがき・ブラッシングで歯肉炎を予防

子猫期から週3回以上の歯みがき習慣をつけると歯垢を約80%減らせると報告されています。
無理なく行うコツは、ガーゼや指サックから始め、徐々にペーストとブラシへ移行することです。

食事・環境を見直し刺激を減らす対処

硬すぎるドライフードは歯や歯肉を傷つけることがあるため、シニア期はセミモイストやウェットを取り入れましょう。
刺激物を避け陶器製の食器に変えるだけでも口内炎の痛みが軽減されます。

水分摂取と熱中症対策で健康を維持

1kg当たり50mlの水分が理想摂取量です。
循環式給水器やチュールタイプの水分補給食を活用し、室温は25℃以下・湿度60%以下に保ちましょう。

緊張・ストレスを低下させるケアでトラブル回避

フェリウェイ拡散器や高い場所の設置など猫本来の行動欲求を満たす環境整備がストレス軽減に有効です。
ストレスは免疫力を下げ口内炎を悪化させるため、遊び時間を確保し適度な運動を促しましょう。

症状悪化を防ぐ定期チェックと診療サイクル

口腔トラブルは慢性化しやすいため、定期的なモニタリングが不可欠です。
以下の項目を習慣化して早期発見・早期治療に繋げましょう。

毎日の口内・口腔観察で炎症・分泌を早期発見

照明付きのデンタルミラーを使い、歯肉の色・腫れ・出血をチェックしましょう。
異常を写真で記録すると獣医師への説明がスムーズになります。

食事量・体重・行動の変化を記録する方法

スマホアプリで給与量と体重を入力しグラフ化すると微細な変動に気付きやすくなります。
週1回の体重測定を習慣化し、200g以上の増減が続いたら受診を検討しましょう。

獣医師監修の定期診療プランで健康維持

半年ごとの口腔クリーニング、年1回の血液検査を基本とし、高齢猫は3か月毎の尿検査を追加すると安心です。
ペット保険の予防プランを活用すれば費用負担も抑えられます。

よだれトラブルQ&A―飼い主が心配な疑問に獣医師が解説

ここでは多く寄せられる質問をピックアップし、現役獣医師の見解をまとめました。

ネバネバよだれでも食欲旺盛なら大丈夫?

食欲があっても粘稠性が高いよだれは歯周病や腎不全初期の可能性があります。
早期治療が予後を左右するため、1週間以内に検診を受けましょう。

ペットが誤飲した時の対処と応急処置

紐類やプラスチック片を飲み込んだ疑いがある場合、まず吐かせようとせず病院へ。
尖った異物が食道を傷付け穿孔リスクを高めるためです。

高齢猫で強い口臭…年齢だけが問題?飼い主の心配解消

加齢による唾液減少はありますが、強い臭いは大抵口腔疾患が関与しています。
シニア検診でレントゲンと歯科チェックを受けることが最善策です。

てんかん発作時の大量よだれと神経疾患の関係

発作中のよだれは気道保護反射低下により分泌が過剰になるもので、神経系トラブルの典型症状です。
動画撮影と発作の時間記録が診断精度を高めます。

まとめ―異常よだれから愛猫を守るために今すぐできること

猫のよだれは些細な変化でも重大疾患のサインとなる場合があります。
毎日の観察と早期受診が健康寿命を大きく伸ばす鍵です。
最後にポイントを振り返り、今日から実践できるアクションを整理します。

今日から始めるセルフチェック&ケアルーティン

  • 口腔内を週3回ライトで確認
  • 食事量・体重をアプリで記録
  • 月1回デンタルケア用品を見直す
  • 異臭・粘度変化を感じたら写真撮影

異常を感じたら早期受診が猫の健康を救う

『まだ大丈夫』の先延ばしが重症化を招きます。
よだれが止まらない、色や臭いが変わった時は迷わず獣医師に相談しましょう。
愛猫のQOLを守る最善策は、飼い主の迅速な行動と日々のケアです。